『A Space for the Unbound 心に咲く花』をプレイしての感想
基本情報
Mojiken Studio/コーラス・ワールドワイド | |
ADV | |
PS5PS4SwitchXB1PC(Steam) | |
2023年1月19日 |
- 90年代後半のインドネシアの田舎町を舞台に、人の心にダイヴできる特殊な能力を持つ少年と少女を描いたアドベンチャーゲーム
- 高校最後の年を過ごす男子生徒アトマと女子生徒ラヤが世界を終末へ導く超自然現象の謎を解くため奔走する
- 各地を探索して人と会話したり調べられるポイントをチェックしながら情報やアイテムを集め、ストーリーを進めていく
- 悩みを持つ人の心にダイヴし、彼らの悩みや不安を解消して心に花を咲かせよう
感想
ストーリー
高校生活が終わろうとする中、ふたりの優しい高校生アトマとラヤと一緒に、自分を見つける旅へと出かけましょう。突然解き放たれた謎の超能力に存在を脅かされ、ふたりは町を調べてまわり、隠された秘密を解き明かさなくてはなりません。そしてお互いのことを深く知り合い、やがては世界の終わりと対峙することを強いられます。
本作の舞台は90年代後半のインドネシアの田舎町。
ゲームの序章では本作の主人公アトマとニルマラという少女のエピソードが描かれる。ニルマラは童話を書いており、アトマは彼女にアイデアを授けるといった形で共作者となっていた。
ある日ニルマラが川で溺れそうになっている所を助けようとしたアトマが濁流に飲み込まれてしまう。
ここで序章が終了し、第一章へ。
目が覚めるとそこは高校で、目の前の席には彼女であるラヤが居た。
高校生活が終ろうとする中、進路相談書の提出を促されるもやりたい事が見つからないアトマに対してラヤは二人で一緒に「やることリスト」を作ろうと提案。
二人はこのやることリストに書いたことを実行していく中で、犬に追われて木の登った猫を助けることに。
ここでアトマは木から落下してしまうのだが、ラヤが不思議な能力を使って助けるのであった。
その後二人で映画を見るのだが、映画を見終わると世界の様子がおかしくなりラヤも体調を崩してしまう…。
…といったように単なる青春物語ではなく、人の精神世界に潜り込むことが出来るアトマや魔法のような力を使えるマヤ、おかしくなる世界、そもそも序章のエピソードは何だったのか…など超能力や終末世界といった要素や多くの謎が登場し、それらが徐々に明らかとなっていく仕組みになっている。
ネタバレとなるので詳しく紹介することは出来ないが、前向きになれるストーリーで個人的には良かった。ストーリーのジャンルとしてはセカイ系に該当するだろう。
序盤の雰囲気や公式サイトの紹介などを見て興味を持ったならプレイしてみて良いかと思う。
ノスタルジックさ溢れるインドネシアの風景
本作の大きな特徴の1つとして、丁寧に作られたピクセルアートが挙げられる。
このゲームは1990年代後半のインドネシアを舞台にしているのだが、ノスタルジックな町並みや温かみのある雰囲気が繊細なドット絵で見事に表現されている。終末的なストーリーや美しいBGMも相まってゲームに引き込まれていくこと請け合いだ。
ゲームシステムについて
本作は章仕立ての2Dアドベンチャーゲームであり、システムはオーソドックスなものとなっている。
近づくと?マークが表示されるポイントで「調べる」「話す」「持っているアイテムを使う」といったアクションを実行することでアイテムや情報を入手し、それらを利用して謎解きやストーリーを進めていくという形だ。
また「心に咲く花」というサブタイトルにもあるように、不安や悩みを抱えた人物の頭の上に花のようなものが表示されており、彼らに対して「魔法の赤本」と呼ばれるアイテムを使うことでその人の精神世界に潜り込む「スペースダイヴ」が行える。
現実世界で集めた手がかりなどを利用して彼らの持つ悩みや不安・問題を解消すると現実世界にも影響が出てストーリーが進展していくのだ。
単純に各地を探索してアイテムを集めるおつかい的なモノだったり、パズルや謎解き要素など対処法は様々。謎解きの難易度は難しすぎず、ストーリーを邪魔しない適度なバランスとなっている。
またゲームを飽きさせない要素としてちょっとしたミニゲームも多数登場。
サッカーのリフティングをしたり、盗み聞きをして情報を集めたり、上から落下してくるものを避けながら進んだり、相手に見つからないように物陰に隠れながら進んだりなどその種類は様々だ。
これらの要素は基本的に肯定的に受け入れられるものだが、個人的にQTE(時間内に指定されたコマンドを入力するもの)の量の多さが少し気になった。
QTEはこれで詰まってしまう人が出ないよう、おそらく難易度は低めに設定されている。これは良い判断だと思うしミニゲームの1つとしてたまに登場する位ならアリだとは思うのだが、流石に量が多くないか?と感じた。
まとめ
- 高校生男女の気持ちや不安定さを繊細に描き、徐々に謎が明らかとなっていくストーリー
- ストーリーを彩る緻密に書き込まれたピクセルアートや良質なBGM
- 猫がかわいい
- 違和感がなく高品質なローカライズ
- ミニゲームを挟むことでプレイヤーを飽きさせない作り
- QTEがちょっとクドイ
シナリオは個人の好みなどもあると思うが、パッと見の雰囲気や公式サイトなどを見て惹かれるものがあれば買って後悔することは無い出来かと思う。
ちなみに第一章でラヤと作る「やることリスト」をコンプした状態でEDを迎えるとちょっとしたエピローグが見れるので、気になる人は頑張ってみてほしい。
インドネシア… ザ・レイドGOKUDOのヤバい国という偏った知識しかないですが、面白そうだし思い切ってやってみようかな!