ととねこのゲーム紹介所・第25回 『Cris Tales』【レビュー・感想】

コロンビアからJRPGに宛てたラブレターの出来は如何に

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ととねこのゲーム紹介所・第25回 『Cris Tales』【レビュー・感想】

  • 「時間を操る」ことをテーマにした作品。PS5/PS4/Switch/XBox Series/XB1/Steam向けに発売中
  • 開発チームのほとんどがコロンビア出身のクリエイターによるJRPG
  • タイトルの「Cris Tales」はコロンビアの公用語であるスペイン語でのクリスタル(Cristales)から付けられた
各ストアのDL版販売ページ
『Cris Tales』は新たな視点で綴られる、インディーからクラシックJRPGへの美しいラブレターです。過去をかいまみ、現在で行動することでダイナミックに変化する未来。そのすべてがひとつの画面で繰り広げられます! 目覚めたばかりの時使いCrisbellや魅力あふれる仲間たちと共に、恐ろしい未来の迫るファンタジー世界を...
任天堂の公式オンラインストア。「Cris Tales」ダウンロード版の販売ページ。マイニンテンドーストアではNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)やゲームソフト、ストア限定、オリジナルの商品を販売しています。
Cris Tales is a gorgeous, indie love letter to classic JRPGs with a new perspective. Peer into the past, act in the present, and watch as your choices dynamical...

 

「Cris Tales」とは

Cris Tales」は時を操る能力を持つ少女クリスベルが魔女タイムエンペラスがもたらす滅びの未来から世界を救うために、各地の王国を巡り個性豊かな仲間と出会ったり人々や王国の未来を変えるような選択をしながら冒険をするRPGです。

開発チームは本作を“JRPGへのラブレター”と形容し、「クロノトリガー」「ファイナルファンタジーIV」を始めとしたさまざまな日本産RPGにインスピレーションを受けて制作されています。

本作は”時空を操る“という事がストーリーやシステムの根幹となっているのが特徴です。特にユニークなのは街などの探索中に過去・現在・未来の様子が常に表示されているゲーム画面でしょう。

全てのNPCに過去・現在・未来の姿が用意されている

街の探索パートでは↑画像のように三角形のような切れ込みが入ったデザインになっており、左に過去・中央に現在・右に未来の様子が常に表示されています。

クリスベル自身は時空を超えることは出来ませんが、相棒のカエル「マティアス」は過去と未来を行き来することが出来るので、彼に別時空の様子を見に行ってもらったり、カエルが干渉出来るレベルのアクションやモノを持ち帰ることが出来ます。この能力を活用し過去や現在の状況を変化させ、現在や未来をこれまでとは違う良い方向へ進めていくことが本作の基本的な流れとなります。

ただし中には困っている人全てを助けることが出来ない場合も。
片方を助けることはもう片方を見捨てることにもなるので、どちらを選ぶかプレイヤーは苦悩することになるでしょう。

 

少し固いローカライズ

本作は日本語にも対応していますが、翻訳された文章は少し固い印象。

固いといっても珍文の波状攻撃で理解することを許さない怪作「ZENITH」のようなとんでもないクソ翻訳のようなものではなく、時折違和感あるかなぁといったレベルですね。
ちょっと読みづらい文章もありますが、ゲーム進行を妨げるような文章はほとんど無かったはず。

↑は某イベントでゲームオーバーとなる選択肢を選んだ時の一コマ。死んだのに力強い「倒す」という文字が

とは言え、文章量が多く読むことが重要なRPGとしてはもう少しローカライズにも力を入れて欲しかったのが正直な所ですね。

ととねこ
まともなローカライズが大変なのは分かるけどちょっと勿体ないね。改行の位置が不自然だったりするし、あまりコストはかけられなかったのでしょう。



素晴らしいアートワーク

セル画風に描かれた色鮮やかで独特なグラフィックは本作の大きな魅力の1つです。
参考までに幾つかスクリーンショットを貼っておきます。

 

戦闘システム

本作の戦闘はオーソドックスなコマンドバトルです。
画面上に今後の行動順が表示されており、ここを確認しながら戦略を立てていく…といった特別珍しくはない仕組みになっていますが、「スーパーマリオRPG」のようにタイミングよくボタンを押すことで攻撃や防御の効果を高めるといった軽いアクション要素も存在します。

ととねこ
タイミングよくボタンを押す要素はアクセントとしては嫌いではないですが、戦闘テンポはちょっと犠牲になっちゃっていますね。

また、主人公であるクリスベルは戦闘でも時間を操る能力を使うことが可能。
時間を操って敵を若返らせたり逆に老けさせて能力や特性を変化させることが出来るのですが、更にパーティメンバーにはこの能力を活用する独自の手段が用意されています。

例えばパーティメンバーの一人”ウィルヘルム”が持つ植物を植えるスキル、これらは本来植えてから発動までに一定時間経過する必要があるのですが、時間操作を使って植えた時空から未来の時空に進めると即時発動することが出来るのです。
他にも巨大な盾で防御を固める敵に水魔法を使った後で未来に送ると盾が錆びて防御力が大きく下がる…といったように、戦闘にも時空操作を使ったギミックが多数盛り込まれています。

ただ戦闘での時間操作要素はそこまで上手く機能していない印象です。下準備にターン数をそれなりに消費する程のメリットはなく、無理に使う必要はほとんど無い感じなのが少し残念でした。

くろねこ
一部ボス戦でちょっと使うくらいかなぁ。他の高火力スキル連発した方が早いからね。
ととねこ
戦闘バランスの調整を調整してくれればもっと良くなりそうではある。

 

ロード時間とテンポの悪さ

本作をプレイしていて一番残念だったのはテンポの悪さです。

戦闘エンカやエリア切替時など度々ロードが挟まり待ち時間が発生します。
私はPS5版をプレイしたのでロード時間自体はそこまで気にならなかったのですが、機種(SwitchやPS4)によってはロード時間が結構長く、プレイする上で結構ストレスになってしまうようです。

また戦闘にマリオRPG的なタイミングよくボタンを押す要素があるので、戦闘自体もちょっとテンポが悪いです。これ単独だけならそういうシステムだし許容できると思うのですが、前述したロード時間の長さが合わさることでテンポの悪さが際立ってしまっています。

本作の戦闘はランダムエンカウント制なのですが、戦闘自体にそれなりに時間がかかるシステムとランダムエンカは相性が悪いと思います。
シンボルエンカウント制にするなど、戦闘を避ける方法を用意した方が良かったんじゃないかなぁ。

ととねこ
一応ゲーム終盤になれば雑魚エンカを無くす装備とかもあるけど…
くろねこ
ゲームの負荷を考慮するとPS5にしてはちょっとロード長い感じなので、そもそものプログラムにも問題ありそうな気はする

ととねこ
あとマティアス君、街の移動中はクリスベルの肩とかに乗ってもらってもらえませんかね?(カエルのマティアスは移動中クリスベルの後を付いてくるのですが、距離が離れていると↑画像のようにタイムトラベルが出来なくなるのが地味にめんどい)

 

まとめ

こんな人にオススメ
  • グラフィックに魅力を感じる人
  • 古き良きJRPG風の作品を遊びたい人
  • 多少のテンポの悪さは許容できる人

JRPGへのラブレターということで、良くも悪くもクラシックなJRPGっぽさ満載の仕上がりとなっています。

ユニークなシステムに美しいアートワークや世界観、個性豊かなキャラクター達、良質なBGMなど魅力は多いですが、不満点もそれなりにありますね。特にテンポの悪さは結構気になるのでせっかちな人は注意。もう少しロード時間が改善されると良いのですが…

メインのストーリーに関しては「時間操作」ということをテーマにしたものとしては王道的な展開です。細かい部分で気になる場所はありましたが、全体的には上手くまとまっていると思います。

『ととねこのゲーム紹介所・第25回 『Cris Tales』【レビュー・感想】』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2021/08/01(日) 05:55:02 ID:14adbb819 返信

    こういう海外メーカーの日本ラブ作品大好き
    応援の意も込めて購入します!

    • 名前:kuroneko8920 投稿日:2021/08/01(日) 10:38:32 ID:5a67683be 返信

      次回作以降も期待ですね

  2. 名前:匿名 投稿日:2021/08/01(日) 09:56:13 ID:928a622f3 返信

    キャラデザばかり注目してましたが、背景とかもクッソいいですね…

    • 名前:kuroneko8920 投稿日:2021/08/01(日) 10:39:15 ID:5a67683be 返信

      ロケーションが綺麗な場所多いですね

  3. 名前:課長 投稿日:2021/08/01(日) 15:20:17 ID:add19b3dc 返信

    前に紹介してた記事を読んで時間操作と言うシステムが面白そうだと思ってたので、レビュー記事をあげてもらって感謝です

    ただPS4しかないんでロードスピードと、そもそも海外製のゲームをプレイしたことがないので翻訳具合が気になるんですよね……
    とかなんとか思ってたんですが、グラフィック芸術的で圧倒されるレベルだったので気になってた点がどうでもよくなりましたw

    他のゲームで詰まってるんで、今すぐという訳にはいきませんけど買ってみようと思いますー

    • 名前:kuroneko8920 投稿日:2021/08/01(日) 15:59:28 ID:5a67683be 返信

      不満点もそれなりにありますが、ビジュアルのセンスというか芸術性は凄いですね

  4. 名前:匿名 投稿日:2021/08/02(月) 08:27:59 ID:249f7524c 返信

    JPNへラブレターで翻訳微妙ってちょっと複雑ですねw
    でもまともなローカライズの代償はおま値なんで、相当ひどくない限りはいいかなって気もします。

    • 名前:kuroneko8920 投稿日:2021/08/02(月) 08:45:51 ID:a6e14c9d4 返信

      ローカライズはもうちょっと頑張って欲しかったのが本音ですけどねw
      ちなみに価格はUSだと$39.99、日本は3,980円とむしろ国内の方が安いですね。