何というか…ストイックなゲームですね(物は言いよう)
『スカーレッドサルベーション』をプレイしての感想
基本情報
IDEA FACTORY Co.,LTD. | |
TPS | |
PS5PS4Steam | |
2025/5/29 |
本作はコンパイルハートによるローグライトTPS。
記憶を失った状態で謎の施設で目覚めた女性「ウィロ・マーティン」となり、謎のAIから助言を受けながら機械兵器が蔓延るこの閉鎖空間からの脱出を試みつつ、真相を探っていきます。
施設内では武器やアビリティを入手可能。途中でやられてしまうと武器を失いスタート地点に戻されます。ランダム生成されるダンジョンを探索して装備を強化しながら繰り返す死のループからの脱出を目指そう。
ジャンルは”剥き出しのアーマーブレイクTPS”。敵の攻撃を被弾するとアーマーが砕けていき、アーマーが無くなった箇所に被弾すると実際のダメージを受けていくといったシステムが特徴。
気になる点
単調なステージ構成
まず気になるのは単調なステージ構成。ランダム生成されるステージは無機質でSFチックな四角い部屋が通路で繋がっているというシンプルな作りになっているのですが、問題なのは部屋の形のパターンの少なさです。
謎の施設が舞台ということもありステージのビジュアルとしては違和感ないですし、死にゲーという事で繰り返しプレイすることを想定すると、ランダムでステージの形が変わるシステムを採用しているのはリプレイ性的にも良いと思うのですが、あまりにも部屋のパターンが少ないと思います。
同じの形の部屋・敵配置が連続して登場することも珍しくありません。
また本作は大きく分けて3つのステージがあり、ステージはそれぞれ数階のフロアで構成され最下層にいるボスを倒すことで次のステージへ進むという作りになっているのですが、3つのステージの違いは何と色だけ!
せめてもの味変として、何かステージにちなんだギミック位あっても良かったのでは。炎とか氷属性ダメージの概念あるんだし…
敵の種類少なすぎ問題
ステージにコストをかけられなかった分、敵のバリエーションで単調さをカバーする…なんてことはありません。
このゲームにはライブラリーにエネミー図鑑があるのですが、なんとその数は9体!
一応擁護すると色違いの個体は居て微妙に攻撃パターン等は違っています。とは言え同じような敵と繰り返し戦っている感は否めません。
ちぐはぐな育成要素
全10種類の武器にはレベルの概念があり、敵を倒すとドロップする通貨を用いてレベルアップさせることが出来るのですが、序盤~中盤でのレベルアップのバランスが悪いです。
レベルを上げるためにしっかり探索をして敵を殲滅しても大体1フロアで上げられるレベルは1~2程度。
装備はステージ中に設置される箱からランダムで入手することが出来るのですが、通貨を貯めるためにしっかり探索すればもちろん装備を手に入れる機会も増えます。そうすると頑張って1~2レベル上げた次のフロアでレベルが3位高い同じ武器が手に入る…といった事が頻繁に発生します。
ただ敵はスルー出来るので、じゃあ序盤は無視すればいいじゃないか!という発想になるかと思いますが、このゲームでは敵を殲滅するとワープポイントが出現する場合があります。
ワープポイントの先にはもう一つの装備要素であるエクソスキルやストーリーを補完するレポートといったアイテムが設置されている場合があるので、本作をしっかり楽しみたい場合は結局敵の殲滅が要求されます。
道中長すぎ問題
敵やステージのバリエーションが少ないなど単調に感じる要素を紹介してきましたが、単調な上になんとステージが無駄に大きいという嫌がらせのような構成になっています。
1フロアにつき数十個の部屋があり、ランダム生成の弊害がたまに妙に長い通路があるなど、移動面でもプレイヤーにダメージを与えていきます。
またちょっとネタバレになってしまうのですが、本作は1回クリアするともう一度ステージの最初からあるアイテムを探しながらゴールを目指してねという、いわゆる魔界村システムな作りになっています(地獄かな)
なので2周目ではしっかり探索をしなければならないのですが、なんと1周目と比べてステージの作りが無駄に複雑化し、分岐の数がやたらと増えます。
とりあえず突き当りまで進んでも何もなく、正解の道は15部屋前の分岐の先でした!なんてされるとまぁやる気が…。普通そういう作りだったら定期的にファストトラベル置いてすぐに戻れるようにするとかしそうなものだけどなぁ。
全体的なゲームバランス
ストーリーを進めるとエクソフォースドライブと言う装備スロットが解放されます。
ここには火力やHPアップ、リロード時間の短縮といったアビリティ的な効果のあるエクソスキルを装着可能。エクソスキルはステージ中でランダムに入手でき、装備した状態で同じエクソスキルを拾うことでレベルを上げることも出来ます。
このエクソスキルにはエクソフォースというゲージがあり、敵を倒したり特定のアイテムを拾うとゲージが増加。ゲージが最大になるとそこに装備したスキルの効果がブーストされます。更にこのゲージを消費してオンスロートといった一定時間無敵の強化状態に入ることも出来ます。
なのでこのゲージを維持してスキル効果をブーストしつつ、ピンチではオンスロート状態になって切り抜けるといった事が攻略のポイントになるかと思いますが、このゲージは被弾するとごっそり減るというシステムになっています。
つまり上手い人はより楽に、被弾率が多い苦手な人はより不利になるという格差を生むだけの作りなのです。
ローグライト要素が薄い
公式サイトでは明言されていませんが、メディアのインタビューではローグライトと称していたので本作はジャンルとはローグライトTPSになると思いますが、本作はローグライトとしての魅力がほとんどありません。
ゲーム内にある選択肢は武器とエクソフォース(スキル)位。エクソフォースはステータス強化やリロード時間短縮など、ほぼキャラの基礎性能を強化するもので大きくゲームプレイを変化させるようなものはなく、ビルド的な楽しみは薄いです(変わり種は敵を倒した時にHPが回復するようになる位?)
またエクソフォースはゲームオーバーになっても失わないシステムになっており、レベルも引き継ぎます。なのでプレイする度にスキルや武器構成を変えてみよう!といった事をし難くしています。
武器は射程や攻撃範囲、火力などに差はありますが、どれもそこまでゲーム体験を変える程の差はなく魅力がありません。武器にレベルの概念もあり2本しか持てないので、結局使いやすい武器を1本持って使い続ける形になるでしょう。
良いローグライク/ローグライトゲームは死ぬ度に「もう一度プレイしよう!」と何度もプレイしたくなる魅力があると思いますが、本作にはそれがありません、ローグライトっぽいゲームデザインなのにローグライトの良さが薄いのです。
評価点
操作感は悪くない
コンパちゃんのゲームにしては操作感は良く、結構思った通りにキャラを動かせます。
キーコンフィグもあるので自分が操作しやすいように調整することも出来ます。
声優陣が豪華
ちょっと口の悪い女性”ウィロ・マーティン”(CV. ファイルーズ あい)と謎のAI(CV. 諏訪部 順一)のやり取りににフルプライス(8,580円)を出せる人ならアリかもしれません。
まとめ
- 虚無
コンパちゃんの作品なので正直最初から高い完成度は期待しておらず(失礼)、不満点はあるけど良い所もある尖った作品だと良いなと思っていましたが、特別爽快感や達成感もなく、ただただ単調で楽しませる気があるのか?と言いたくなる残念なゲームという印象でした。
PS5『スカーレッドサルベーション』プラチナトロフィー獲得!
本作はコンパちゃん版リターナル風TPSです。
えーっと…味のしないガムのようなゲームですね(察し)
操作性は〇。初見クリア出来たので初周は死にゲーって程でもない?トロフィーはオンスロート中300体撃破が残りがちなので意識しよう pic.twitter.com/KxqeXQu3fg
— ととねこのゲーム攻略所 (@totonekonet) May 31, 2025
本作のPS5/PS4版はPSPlusゲームトライアルに対応しています。PSPlusに加入していて気になった人はまずはそちらを試してみることをオススメします。
製品版は最初の10分位で体験できるゲームプレイがその後もずっと続く感じなので、大体どんなゲームかは掴めるかと思います。
クリア後に敵が強くなっていく周回モードが解放されるので、こちらを何周もプレイしたらゲームに深みが出てくる…かもしれないです(私は★2途中で脱落)
実質同じ部屋で見た目だけが変わる……つまりこれはキューブ(映画)リスペクト作品だったんだよ!!!